特定飛行をする操縦者は、「飛行記録(様式1)」「日常点検記録(様式2)」「点検整備記録(様式3)」の 3 つを飛行日誌として機体ごとに備えておく必要があります。書くのは飛行記録と日常点検記録が飛ばすたび、点検整備記録が点検や整備をした都度です。国土交通省の「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」(令和4年12月制定)に沿って、それぞれに何をどう書くかを記入例つきでまとめました。
飛行日誌が義務になるのは、特定飛行をするとき
特定飛行をする操縦者に飛行日誌を備えて記載することを、航空法が義務づけています。特定飛行とは、人口集中地区の上空や夜間、目視外のように許可・承認が必要になる空域や方法での飛行のことです。罰則は 10 万円以下の罰金で、飛行日誌を備えていない場合のほか、書くべき事項を書いていない場合やうその記載をした場合も対象です(航空法第157条の11)。
特定飛行をしない飛行では義務になりません。ただ国土交通省は、特定飛行以外でも同じ要領に沿った記録を推奨しています。不具合が起きたときに過去の飛行や点検の記録から原因をたどれるからで、要領は記録を「飛行の安全に資するもの」と位置づけています。
紙でも電子データでもよく、飛ばすときは持ち歩く
様式1〜3 の内容をすべて含んでいれば、表計算ソフトやアプリなどの電子データで記録・保管してかまいません。紙なら日本語か英語で、黒か青のインクのボールペンなどを使って記入します。どちらの方法でも飛ばすときは飛行日誌を常に携行し、求められたらすぐ見せられる状態にしておく決まりです。
持ち歩く範囲は、紙で管理する場合で直近の点検整備より後の飛行記録と日常点検記録、それにすべての点検整備記録です。それより前の分は機体の使用者が保管します。なお、記載と保管は機体が登録されている間ずっと続けます。
様式1 飛行記録は、1 回飛ばすごとに 1 行
飛行記録は飛ばした都度、1 飛行ごとに書きます。要領でいう 1 飛行は、電源を入れて出発地から離陸し、目的地に着陸して電源を切るまでです。たとえば着陸後にバッテリー交換のため電源を切ったなら、そこで 1 飛行が終わります。一方、電源を入れたまま別の地点へ飛び続けた場合は最終目的地で電源を切るまでが 1 飛行になり、途中で着陸した地点を経由地として書きます。
登録記号や製造者などの機体の情報は、飛行記録の冒頭にまとめて書いておけばページごとに書き直さなくて済みます。そのうえで、1 飛行ごとに書く項目は次のとおりです。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 飛行年月日 | 西暦で書く |
| 飛行させた者の氏名 | 技能証明を受けている人は、技能証明書番号も書く |
| 飛行概要 | 飛行目的(空撮、測量、インフラ点検・保守など)と経路。特定飛行なら、その形態(人口集中地区(DID)上空、夜間、目視外など)も書く |
| 離陸場所・着陸場所 | 緯度経度か、「都道府県+市区郡+町村」「○○運動場」のように場所を特定できる名称 |
| 離陸時刻・着陸時刻 | 日本時間の 24 時間制で、1 分単位 |
| 飛行時間 | 離陸から着陸までを 1 分単位 |
| 総飛行時間 | 製造してからの積算の飛行時間を 1 分単位 |
| 飛行の安全に影響のあった事項 | 影響した、または影響するおそれがあった場合に、その内容と前後の機体の状態 |
| 記事(不具合と処置) | 不具合の発生年月日と内容、処置した年月日と内容、処置を確認した人の氏名 |
通報した飛行計画と時間まで厳密に一致させる必要はありません。飛行記録に残すのは、あくまで実際に飛んだ実績。ただし、1 つの飛行計画の中で何回か飛ばしたなら 1 回ごとに 1 行ずつ書きます。
記入例(架空の例です)は次のようになります。
| 飛行年月日 | 飛行させた者 | 飛行概要 | 離陸場所 | 離陸時刻 | 着陸場所 | 着陸時刻 | 飛行時間 | 総飛行時間 | 安全に影響のあった事項 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026/10/15 | 田中 太郎 | 空撮。人口集中地区(DID)上空 | 東京都港区芝公園 | 10:05 | 東京都港区芝公園 | 10:29 | 24 分 | 102 時間 16 分 | なし |
様式2 日常点検記録は、飛ばす前に 9 項目
日常点検記録も飛ばす都度に書きます。様式2 の点検項目は 9 つあり、それぞれの結果欄に「正常」「異常」などと記入する形式です。ただし、メーカーが日常点検の項目を指定している機体は、その項目に従って点検します。メーカー指定の日常点検の様式があるなら、様式2 の代わりにそれを使ってもかまいません。
| 点検項目 | 確かめる所 |
|---|---|
| 機体全般 | 機器の取り付け状態(ネジ、コネクタ、ケーブル等) |
| プロペラ | 外観、損傷、ゆがみ |
| フレーム | 外観、損傷、ゆがみ |
| 通信系統 | 機体と操縦装置の通信品質の健全性 |
| 推進系統 | モーター又は発動機の健全性 |
| 電源系統 | 機体及び操縦装置の電源の健全性 |
| 自動制御系統 | 飛行制御装置の健全性 |
| 操縦装置 | 外観、スティックの健全性、スイッチの健全性 |
| バッテリー、燃料 | バッテリーの充電状況、残燃料表示機能の健全性 |
このほかに実施場所と実施年月日(西暦)、実施者を書きます。特記事項の欄には点検で見つけた不具合を書き、飛行後点検をした場合はその結果も「飛行後点検:異常なし」のように残します。見つけた不具合を直した記録の置き場所は、次の点検整備記録です。
様式3 点検整備記録は、点検・修理・改造をした都度
定期点検や修理、部品の交換、改造をした都度に、作業をした人が書くのが点検整備記録です。メーカーの指示による点検整備に加え、故障の原因を調べた作業やそれを直した作業も対象になります。前回の記録と区別しやすいよう上下に 1 行ずつ空け、空けた行には「〆」を書くという決まりもあります。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 実施年月日 | 作業を始めた日を西暦で書く |
| 総飛行時間 | 前回の機体認証の検査に向けた点検整備から後の総飛行時間。機体認証を受けていない機体は、作業した時点の総飛行時間 |
| 点検、修理、改造及び整備の内容 | 交換した部品名や部位、定期点検の実施、カメラや散布装置の取り付け・取り外しなど |
| 実施理由 | 点検整備をした理由 |
| 実施場所・実施者 | 作業した場所と、作業した人の記名 |
| その他特記事項 | 次に予定している点検整備の期限など |
たとえば「2026/9/9、総飛行時間 102 時間、プロペラ交換(4 枚)、飛行時間 100 時間ごとの定期交換、自社整備場、田中 太郎」のように 1 回分を書きます(架空の例です)。
通報の内容から日誌を起こすと、書き写しが減る
様式1 の項目のうち日時と機体、操縦者、飛行目的、飛行場所は、飛行計画の通報で入力した内容とほぼ重なります。飛ぶ前に通報で一度入力し、飛んだあとに同じことを日誌へ書き写す二度手間は、日誌が後回しになりやすい原因の一つでしょう。だから通報した内容から日誌を作れる道具を使うと、書き写す手間も書き間違いも減らせます。
Drone24 では DIPS 2.0 に通報した飛行計画から、日時・機体・操縦者・飛行目的・飛行場所が入った状態で飛行記録(様式1)を作れます。日常点検(様式2)の 9 項目と点検整備記録(様式3)もアプリの中で記録でき、機体ごとの一覧から印刷や CSV 書き出しもできます。画面つきの手順は使い方ガイドの「飛行日誌をその場で作る」にあります。